こんにちは、暖淡堂です。
管子四篇の「心術」の続きです。
今回は「礼」と「法」を述べた部分です。
前回の内容は以下になります。
虚登降揖讓、貴賤有等、親疎之體、謂之禮。
簡物小未、一道殺僇禁誅、謂之法。
以下の様に分けて読んでいきます。
- 登降揖讓、貴賤有等、親疎之體、謂之禮。
- 簡物小未、一道殺僇禁誅、謂之法。
- 礼と法。
登降揖讓、貴賤有等、親疎之體、謂之禮。
登降とは朝廷での会議に参加するために階段を昇り降りすること。揖譲の揖(ゆう)は両手を組んで会釈することです。
揖譲は挨拶をして譲り合うこと。等は同じ立場の人たち、仲間のような意味です。仲間づきあいにも、相手を尊重する時の程度(貴賤)の違いがあるということですね。
體は体の旧字、禮は礼の旧字です。よく似てます。で、體は身体のことですが、親しむとか実行するという意味もあります。ここでは親疎、親しみつき合うことと遠ざけること、これらを実際に行うことというように読んでおきます。
朝廷に参画する際の立場の違い、仲間づきあいでの親しさの差、その他の人と人との付き合いもきちんと区別して行う。これを禮(礼)といいます。
簡物小未、一道殺僇禁誅、謂之法。
この簡は「簡単」などに使われますが、ここでの意味は「傲(ごう)」。尊大なもの、大きなもの。
未は末の誤りとされています。「簡物小末」は大きくなってしまうものが、まだ小さいうちに、という意味になります。
一道は道を一つにする。様々な基準を持ってこない。殺戮禁誅は処罰の方法です。死刑にしたり、禁固刑にしたり。これらのことを行うのを法といいます。
礼と法。
世の中にあるものには、近いもの、遠いもの、貴いもの、不通にあるものなどの区別があります。そういうものの価値、評価などにしたがった振る舞いや原理を「礼」といいます。
出来事がまだ小さなうちに対処する、その際も道の在り方に適った方法で実施する、そして一つの基準で公平に裁く、これを「法」といいます。
原文:登降揖讓、貴賤有等、親疎之體、謂之禮。簡物小未、一道殺僇禁誅、謂之法。
書き下し文:登降揖讓、貴賤に等有り、親疎の體、これを禮という。簡物小未、道を一にして殺僇禁誅する、これを法という。
意味:朝廷に参画する、または退くときに譲り合うように振る舞うこと、貴きもの賤しきもの、また親密なもの疎遠なもの、これらそれぞれに応じた付き合い方をすること、これを礼という。小さな兆しのうちに物事を見分け、道とひとつになって殺戮禁誅の刑罰を執り行う、これを法という。
(「管子四篇」ペーパーバック版も発売中です。どうぞよろしく)
にほんブログ村ランキングに参加しています