安心感の研究 by 暖淡堂

穏やかに日々を送るための試みの記録

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毋先物動、以観其則。動則失位、静乃自得。春秋時代から伝わる心術の歴史 第8回 

こんにちは、暖淡堂です。

ゆっくりと読んでいる心術、今回は8回目です。

前回は、人々の能力を十分に発揮させよ。指導的立場にある者は、別にやることがあるのだ、という感じの文章でした。

今回はまた指導者の心得になります。

 

 

先物動、以観其則。動則失位、静乃自得。

 

以下の順に読んでいきます。

 

  • 先物動、以観其則。
  • 動則失位、静乃自得。
  • 指導者に求められるのは「静」

 

先物動、以観其則。

は「~するなかれ」の禁止。前回出てきましたね。以は「もって」と読みます。「~によって」とか「~を用いて」とか「~なので」とか「~のようにして」のような意味。則は法則です。初めの4字は物に「先だって動くな」と言っています。そうして後ろの4字では「動かずに、世の中の物事の動きの背後にある法則を見なさい」と勧めているのですね。

 

動則失位、静乃自得。

ここの則は「すなわち」。さっきの則と同じですが、使われ方が異なります。だいも「すなわち」。位は「地位」であったり「位置」であったり、「職位」であったり。ここではその人の取るべき立場のように読みたいと思います。動いてしまうとその人の取るべき立場を失ってしまう。騒がしい動きから身を引いて、静かにしていると本来の在り方が自ずと得られる、維持されるということですね。

 

指導者に求められるのは「静」

指導者に求められるのは、ざわざわとした世の中に自分から出ていって、人々と一緒になって騒ぐことではなく、世の中の動きから一歩下がって、そこで何が起こっているのか、人々は何をしようとしているのか、幸福な世の中とはどのようなものなのか、それを見ようとする態度が求められるということです。そして必要な手当てをして、それが終わればまたそっと身を引く。それが指導者のあるべき在り方。

人々の間の対立を煽り、自らも大騒ぎをして、その中で見えてきた強そうなものに加担する。最近はそんな人が指導的立場に立つこともあるようです。残念なことです。

 

原文:毋先物動、以観其則。動則失位、静乃自得。

読み下し文:物に先だって動くなかれ、もってその則を観よ。動けば則ち位を失い、静かなれば乃ち自ずと得。

意味:ものごとの先になって動こうとせずに、まずその法則をみなさい。動いてしまえば本来あるべき位置や立場を見失ってしまうが、静かにしていれば自然と本来の自分の在り方にあることができるのだ。

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dantandho
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