こんにちは、暖淡堂です。
心術を少しずつ読み進めています。
前回までは、上に立つ者の心の在り方が、従う人たちにどのように影響を及ぼすのかが書かれていました。
では、指導的立場にいる者はどのように従う人たちと接するべきか。
それを述べた文章が続きます。
毋代馬走。使盡其力。毋代鳥飛。使獘其翼。
以下の順に説明していきます。
- 毋代馬走。使盡其力。
- 毋代鳥飛。使獘其翼。
- 人々本来の能力を尽くさしめよ
毋代馬走。使盡其力。
毋は母に似ていますが、「ぶ」と読みます。「~するなかれ」という禁止、抑止の意味です。先頭に置かれて、続く三つの漢字で書かれた部分の内容を禁止しています。代は「かわって」、「かわりに」。次に来るのが馬と走なので、「馬にかわって走る」。毋はそれ全体を禁止して、「馬にかわって走るなかれ」となります。
使は使役の意味です。文頭に置かれて「~させよ」となります。続くのが盡。「つくす」です。其は何度かでてきました。「その」ですね。其力は「その力」。この文は「その力を盡さしめよ」となります。
この文章全体では「馬にかわって走ったりするな。走るのが得意な馬にその力を十分に発揮させなさい」という意味ですね。
毋代鳥飛。使獘其翼。
獘は「へい」。疲弊の弊の旧字体です。ここでは「つかれる」の意味で読みます。「鳥にかわって飛ぶなかれ。その翼を獘れしめよ」となります。「鳥にかわって飛ぶようなことはするな。飛ぶことが得意な鳥に、本来の能力を出し尽くさせなさい」。そんな意味になります。
世の中にあるものの、本来の能力を尽くさしめよ
馬や鳥は「喩え」ですね。九竅のそれぞれの働きを役人の仕事に喩えたようなもので。世の中に存在する生き物にはそれぞれに得意なものがある。それに取り組ませて十分にその能力を発揮させるようにしなさい。多くの人々にも、得意なこと不得意なこと、それぞれあります。人々には一番得意なことをさせなさい。そう心術は言います。では指導者は何をするべきなのか。続く文章はその説明になります。
原文:毋代馬走。使盡其力。毋代鳥飛。使獘其翼。
読み下し文:馬にかわって走るなかれ。その力を盡さしめよ。鳥にかわって飛ぶなかれ。その翼を獘れしめよ。
意味:馬のかわりに走ろうなどとするな。馬に十分にその能力を発揮させなさい。鳥にかわって飛ぼうなどとするな。鳥にその翼が疲れるまで飛ばせなさい。」
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