安心感の研究 by 暖淡堂

穏やかに日々を送るための試みの記録

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毋代馬走。使盡其力。毋代鳥飛。使獘其翼。春秋時代から伝わる心術の歴史 第7回 【管子四篇】

こんにちは、暖淡堂です。

心術を少しずつ読み進めています。

前回までは、上に立つ者の心の在り方が、従う人たちにどのように影響を及ぼすのかが書かれていました。

では、指導的立場にいる者はどのように従う人たちと接するべきか。

それを述べた文章が続きます。

 

毋代馬走。使盡其力。毋代鳥飛。使獘其翼。

 

 

以下の順に説明していきます。

 

  • 毋代馬走。使盡其力。
  • 毋代鳥飛。使獘其翼。
  • 人々本来の能力を尽くさしめよ

 

毋代馬走。使盡其力。

毋は母に似ていますが、「ぶ」と読みます。「~するなかれ」という禁止、抑止の意味です。先頭に置かれて、続く三つの漢字で書かれた部分の内容を禁止しています。代は「かわって」、「かわりに」。次に来るのが馬と走なので、「馬にかわって走る」。毋はそれ全体を禁止して、「馬にかわって走るなかれ」となります。

使は使役の意味です。文頭に置かれて「~させよ」となります。続くのが盡。「つくす」です。其は何度かでてきました。「その」ですね。其力は「その力」。この文は「その力を盡さしめよ」となります。

この文章全体では「馬にかわって走ったりするな。走るのが得意な馬にその力を十分に発揮させなさい」という意味ですね。

 

毋代鳥飛。使獘其翼。

獘は「へい」。疲弊の弊の旧字体です。ここでは「つかれる」の意味で読みます。「鳥にかわって飛ぶなかれ。その翼を獘れしめよ」となります。「鳥にかわって飛ぶようなことはするな。飛ぶことが得意な鳥に、本来の能力を出し尽くさせなさい」。そんな意味になります。

 

世の中にあるものの、本来の能力を尽くさしめよ

馬や鳥は「喩え」ですね。九竅のそれぞれの働きを役人の仕事に喩えたようなもので。世の中に存在する生き物にはそれぞれに得意なものがある。それに取り組ませて十分にその能力を発揮させるようにしなさい。多くの人々にも、得意なこと不得意なこと、それぞれあります。人々には一番得意なことをさせなさい。そう心術は言います。では指導者は何をするべきなのか。続く文章はその説明になります。

 

原文:毋代馬走。使盡其力。毋代鳥飛。使獘其翼。

読み下し文:馬にかわって走るなかれ。その力を盡さしめよ。鳥にかわって飛ぶなかれ。その翼を獘れしめよ。

意味:馬のかわりに走ろうなどとするな。馬に十分にその能力を発揮させなさい。鳥にかわって飛ぼうなどとするな。鳥にその翼が疲れるまで飛ばせなさい。」

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dantandho
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