2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧
雪 籠 雪 粉雪 吹雪 雪 暗い窓 滑落する 重い渦 零下 風 浮かぶ 人影 鬼面 高麗の 手足 しなやかに 遠く 鼓 とん、とんとん 静かに 雪 散らし 不意に 吹雪 厚く 流れ込み 円舞台 練り込まれ 遠い 鼓 とん、とんとん とん、とんとんとん ふと 目覚める 赤子 …
吹 雪 祭 雪 夜を 青く落ち 線路の響き 汽笛 凍える声 遠く ここ、に 列車 なめらかな夜を すべり 川岸に 音 凝り 小さな獣たち 闇に溶け 春の痒みに ぬるく 沈み 不意に 首を上げる 青い鹿 細く 目 貫いて 吹雪 重く 林を 祈る枝を ひとがたの根を 氷割れる…
こんにちは、暖淡堂です。 暑い暑いといいながら、7月が終わって、もう8月になってしまいます。 「なってしまう」というのは肯定的な意味ですね。 国のトップの見解なので、したがいましょう。 それはそれとして。 7月があっという間の気がします。 もしかし…
こんにちは、暖淡堂です。 暑い日が続いていますね。 まだまだ暑い日は続きそうです。 こんな時は、いっそ熱い歌でも聴きましょう。 もちろん、エアコンの効いた部屋で。 堀内孝雄さん、アリスでの活動と並行してソロでもたくさん作品を発表されています。 …
風 鼓 祭 家が 鳴る 深夜 低い唸りが 聞こえる それは 電線が 荒れる風を 切り裂く音 厚く 濃密に吹き荒れる 風は 大気から大粒の雨をしぼりだし 弱い生き物の 隠れ家に 叩きつける その風が 細い しなやかな線で 切り裂かれ うめく 線は するすると延びる …
暖淡堂は昭和40年に北海道砂川市で生まれました。 それから高校を卒業して旭川の大学に進学するまで、実家で暮らしていました。 その間のことを、思い出すままに書いた文章が「沙河すなかわ」です。 祖父母それぞれの家系が北海道に入植した地域のことや、祖…
砂/川 帰れ と言う 薄い布団に 乾いた指を重ねて 窓でカーテンが揺れ あの日、僕/祖母を置き去りにした 祖母/僕は 病室の 重すぎるドアを閉め 一段一段が高すぎる階段を 飛び降りるように 外へ出ると 短い影が 鍵を、 と囁く 振り返ると 古く低い家の窓 …
北方水滸伝に続く楊令伝シリーズの第十一巻。 楊令の率いる梁山泊軍が、宿敵である童貫元帥の禁軍を破った後の物語です。 この巻で楊令の思い描く国の姿が明らかになります。 それは、一割の税と兵役だけの国。 国の警護や軍の維持は、梁山泊が行う交易から…
暖かい日の午後 書店で 買い物ついでに 立ち寄る書店 子供は 入り込まない 文庫本がぎっしりと並ぶ 好きな場所。 そこに あ、 赤いスカートの 少女 まだ 小学生 かな 並んだ背表紙を 目で追っている 本を 選んでいる その身体が 弾んでいる そして 一冊を引…
この歌は、都で行われた歌合に小式部内侍が歌人として選ばれたときの出来事にまつわるもののようです。 百人一首に歌が選ばれている藤原定頼が小式部内侍のところに来て、「お母さん(和泉式部)からの手紙は届きましたか、歌合で披露する歌は書かれていまし…
雨に埋る空洞 冷たい風の吹く春の日 黒い皮袋 鉄の軌道を滑り 暗い穴 鉄の輪を握る白いひとがた の 枯れた枝に絡まる 蜘蛛の糸 空間の傷 一人暮しの春 窓硝子を歪ませる ぬるい雨に溶ける 空洞 次第に近寄ってくる音を怖れ 工場群の 遠く響く金属音に紛れこ…
ある雨の日、学校からの帰り道、僕はその橋に差し掛かった。夕方のように暗く、雨は不意に強くなった。雨粒は足元の泥水を高く撥ね上げた。撥ね上げられた水は僕のズボンの裾を濡らした。その水は、僕のズボンの裾をまるでつかもうとするようだった。足が急…
横断する楔 楔。 水晶の楔。 回転する水晶の楔。 遠い分光器。白色の空間から色彩を削り出し、撒き散らす。中世都市設計図の裏面。深い空隙。不意に照らし出される、底の獣。黒く、強くしなる尾。硬く、張りつめた肌。冷たく、湿って… 狂い。 色調の狂い。 …
関門海峡 水面が、早朝の陽の光を映して輝いている。 穏やかな海面のすぐ先に、対岸が見えた。 近いのだ。海底の隧道を使えば歩いて渡れる。 その、ほんの少し先に渡ることを拒まれた一族がいた。 権門を誇った人たちだった。 その多くが、この海に消えたと…
こんにちは、暖淡堂です。 暑い一週間でしたね。 皆様、どんな感じで過ごされたでしょうか。 関東も梅雨明け。 これからが夏本番ですね。 今年は、どんな夏になるのでしょうか。 近況 今週の振り返り 7月17日(月) 7月18日(火) 7月19日(水) 7月20日(木…
よく晴れた朝に つるつるした 秋の 青い 空 切り出された 先端で いびつな円が 身をよじっている 待ちわびた 秋なのに もう 夏を 思い出している 肌の下が さわさわと ざわめいている 小さな冬の塊 家の陰で 震える それを 身体に抱えて 凍える よく晴れた …
2010年の2月下旬。 タイでは乾季の終わりが近づき、時々激しい雨が降るようになっていた。 家族のタイへの引っ越しは3月下旬。 それまでの、残り一月ほどの単身駐在となっていた。 その頃、会議などでバンコクに行くと、所々で人々が集まってデモをする様子…
こんにちは、暖淡堂です。 山下達郎さん、ザワザワとしていますが。 RCA/AIRレーベルでのオフィシャルYou Tubeチャンネルを観ていたら、以下の動画がありました。 www.youtube.com ほうほう、なるほど、と思っていたのですが、途中で気づいたことがあります…
実家で飼っていた猫 実家では、家で猫を飼っていました。 灰色と黒と茶色の斑の猫が、僕が思い出せる範囲で一番古くからいた猫で、名前を「ヒトミ」といいました。人によく懐いたおとなしい猫でした。 もう1匹いました。茶色の猫で、名前は「アカ」。これは…
発 熱 それが動き始めた時のことを もう誰も覚えていない それが動いていることさえ もう誰も知らない 緻密に重なった 歯車と 腕と 細かな螺子と その中心で 静かに熱を吐いている 水晶の響きに 小さな螺子が震える とても滑らかに 触手を延ばす 複雑な器官 …
こんにちは、暖淡堂です。 京極夏彦さんの本と北方謙三さんの本を、この夏は交互に読んでいます。 正直、京極さんの本の順番のときは、手首の筋力トレーニングにもなります。 で、今回紹介するのは以下の本。 「狂骨の夢」です。 物語の舞台は、三浦半島、房…
黒 点 垂直の 夜の平面が 長い影を引きずりながら 通り過ぎた 露点計 草の葉に 痕跡 境界線で 湿度が 振り落とされる 鴉は どこにいるのだ 鳴き声が 聞こえない 夜の影が静かに去ると いつも どこかで 忍び笑う鴉は どこにいるのか 朝なのか 本当に 目覚めて…
百人一首第59番目の歌の作者は赤染衛門あかぞめえもん。 後の人たちに、和泉式部と並ぶ才女と評価された人です。 今回は赤染衛門について紹介します。 赤染衛門とは 生年が956年頃、没年は1041年頃。 父は大隅守・赤染時用。 一説では母親の前夫平兼盛の子ど…
旋 回 しかし 朝目覚めたときには 確かにそれは重たかった それが 背中から ずるりとはがれ そのまま ずるずると落ちていった あるいは 自分の身体が ふるふると震えながら 浮かび上がったのかもしれない その鉄と石の塊が 柔らかいのは とても 滑らかに動く…
通学路の途中に、コンクリート製の橋があった。田んぼで利用する水を流すための灌漑溝に架けられたものだ。当時、まだ元気だった祖母から、その灌漑溝を造ったときのことをいろいろと聞かされていた。灌漑溝を造る労働力として、たくさんの政治犯や外国人が…
こんにちは、暖淡堂です。 暑いですね。 誰も梅雨明けって言ってくれませんが、もう真夏でいいですよね。 で、頭の中を流れているのが「夏のお嬢さん」。 特にギターのイントロ。 それと、「砂に書いたょ」の、ちょっと照れて小さくなっちゃったような「ょ」…
律 動 すべてはすべてのものになりうる、それはたんに可能性の問題ではなく、すべてのものがすでにそうであるという意味である。個体を分かつものは「境界」という想定された変化域であり、それで仕切られた領域の周囲には強度のグラデーションがみられ、そ…
こんにちは、暖淡堂です。 梅雨はそろそろ終盤。 驚くくらいに暑い日もありますね。 そして記録的な大雨。 もう少し穏やかに日々が過ごせないかと、ついつい願ってしまいます。 もう少しで夏ですね。 よい夏にしたいものです。 近況 今週の振り返り 7月10日…
網 状 成長/展開 似ている何か 外にある何かから それは来たものだ 尾を振る線虫 不安な目は 外の何かの 断片を持って 侵入した そして温かな体内で 断片は成長する 身体を取り込んで それは静かに 展開する 流れ/力 流れは 力をその裏に持ち 流れ続ける …
こんにちは、暖淡堂です。 アリスのメンバー、矢沢透さんの曲が、夏になると頭の中をぐるぐると回っています。 夏の、気だるい季節感が溢れている名曲が多いですね。 アリスのメンバーといえば谷村新司さんと堀内孝雄さんをまず思い浮かべるかと。 それでも…